ボボンガリンガに囚われた人間の調べ学習記録

ボボンガリンガ♪ボボンガリンガ♪ハレラマヤ♪

みなさんこちらの楽曲をご存じでしょうか。


www.youtube.com

 

聞けた?

聞いたかな?

あのさ・・・・

「ボボンガリンガ」ってなんだよ。

※「ハレラマヤ」も気になるけどまずボボンガリンガから片付けよう

 

検索しても「リンガ」は出てくるんだけど「ボボンガ」は出てこないんですよね。

 

1. カリスマ界隈の情報を探す

 まず最初に大元のカリスマに関連する情報からボボンガリンガについて探ってみる。

ツイッターで「ボボンガリンガ 意味」で調べると、

「膨張した男根」らしいよ。

って出てくる。ツイート主たちは当然ソースなんか示さないので(ここはツイッターだから・・・)、自分で探そう。

 まず、天堂天彦の「VIVA LA LIBERATION」が公開されたのが2022/05/26であることから、最古の情報はその日付になるはず。

 そして、オタクは当然感想をツイッターでツイートするから(自明)、ツイッターで最古のツイートを探してみる。

 すると、

 

 こちらのツイートが確認しうる最古の「ボボンガリンガ」の意味を示すツイートのようです。

 そのもくりの議事録、ないんですかね

 

 さて、ツイッターではこのような結果が得られたので次は大元のYoutubeのコメント欄から調べてみる。

 

 おそらくこれが最古の「ボボンガリンガ」の意味を示すコメント。

ツイッター先ほどのツイートや「ボボンガリンガ 意味」で検索すると出てくるツイートたちのソースはこれっぽい。

 この方の調べを推測でトレースしてみる。

 

①「ボボンガリンガ」で検索する 

 →当時の状況を再現するためGoogleの検索コマンドで「before:2022-05-26」と入力して、2022/05/26 23:59までの検索結果を表示する。

すると、2022/05/25に公開された以下のブログがヒットする。

akuruaki.com

 リンガ=インドで崇拝された男根像

 

肝心の「ボボンガ」の意味は分からないけど、きっと「リンガ」を称賛してるような意味なんじゃないか。知らんけど。

 この方は「リンガ」の意味を調べて、「リンガ」のみの言葉の意味として記述している。

 このほかには「ボボンガリンガ before:2022-05-26」では有用な情報はありませんでした…

 

②「ボボンガ」「リンガ」を分けて検索する。

 「ボボンガリンガ」で出てこないなら分けて検索してみるよね。

ということで先ほどのように「ボボンガ before:2022-05-26」「リンガ before:2022-05-26」でそれぞれ検索してみる。

 

 まず「ボボンガ before:2022-05-26」については、クロノトリガーサウンドトラック楽曲「燃えよ!ボボンガ」がヒットする。筆者はクロノトリガーやったことないのでわからないのですが、キャラの名前とかではなさそう。たぶん今回調べたいボボンガとは関係なさそう。(あったらすみません)

 

 次に「リンガ before:2022-05-26」のほう。

kotobank.jp

 コトバンクがヒット。

インドで崇拝された男根。男根崇拝は、アーリア人以外の先住民族の間で、地母神崇拝と合体して広く行われていた宗教であるが、やがて、シャクティ派的な考えから、宇宙の最高神であるシバ神の象徴であるとされた。リンガ像は、普通、女陰をかたどった皿のような台の上に、その女陰を貫く形で立っているが、それほど即物的な形象をもっていない。

 とのことなので、Youtubeのコメントの方はこちらを参考にしたっぽい…?

 しかしコトバンク上には「男根の膨らみ」というワードはないので、もっと別のソースがあるかもしれない。

 

とりあえずここまでで、カリスマ関連の角度でボボンガリンガを調べた。

しかしYoutubeのコメントにはボボンガリンガの文法的説明は一切書かれていないので、結局「ボボンガリンガ」がどういう文法構造なのかわからず。

 

2. ほかの言語から探す

 次に、ほかの言語で探してみる。

 先ほどのブログやコトバンクから、「リンガ」はインドで崇拝されていた「男根」とのこと+シヴァ神のシンボルであるという情報が得られたので、とりあえずサンスクリット語にあたってみる。

 

 ※筆者は大学の文学部でヒンディー語の初級とインド古典学の入門の授業を履修いていたので、すこしだけ基礎知識があります。(+いろんな言語の文法を学んだことがある状態です)

 

・「linga sanskrit」で検索する

www.wisdomlib.org

 こちらのインド古典学関連のサイトがヒット。

 ざーっと見ると、リンガってめっちゃ意味ある。

 こちらの記事の項目は宗派や書物などによって分かれている。(優秀だな…)じゃあとりあえず「penis」で検索する。

 まず最初にヒットしたNirukta(古代インドで研究されていた語源学)の項目では、

Liṅga (लिङ्ग) is said to have the idea of merging.—According to Nirukta (4.19) the word liṅga means “lustful”.—As everything gets merged in it it is called liṅga. It is pointed out that the fusion of the symbols of Śiva and Śakti, namely the penis and the vagina, is called liṅga. Another etymology of the word is that the liṅga is so called because it makes the lina or avvakta that is Śiva, known.

In a passage of the Saurapurāṇa, Nārada asks Brahmā as to what is called liṅga; then Brahma gives the definition of liṅga:

“That form of Mahādeva which is Unmanifest (avvakta) is called liṅga; it is bliss (ānanda) and beyond all nescience (tamasaḥ paraṃ). By the liṅga Śaṃkara is Liṅgī”.

と記述されている。ここでのNiruktaはYāskaのものっぽい。(紀元前5世紀ごろ)

特に大事なのは↓。

It is pointed out that the fusion of the symbols of Śiva and Śakti, namely the penis and the vagina, is called liṅga.

つまり、「リンガ」とは単にペニスのことではなく、ヴァギナとペニスの融合(=性行為の実践)ということらしい。

 

 次にヒットするのはAyurvedaアーユルヴェーダの項目。アーユルヴェーダは結構有名な言葉なので知っている方も多いかと思われるが、簡単に言えばインドの伝統的な医学のこと。

 こちらの項目では、

1) Liṅga (लिङ्ग):—A distinguishing mark or a  feature, attribute, or trait; that’s points towards a co-relation

2) Penis

と記されている。こちらではシンプルに「シンボル」「ペニス」という意味らしい。この引用箇所の下に、「カーマスートラにはペニスという意味の記述があるやで」と書いてありました。

カーマスートラは、古来インドにおける人生の三大目的であるカーマ(性愛)、ダルマ(聖法)、アルタ(実利)のうちのカーマ(性愛)の部分について知るされた書物。4世紀~5世紀ごろ

 

 他にヒットする項目(ヨガ、チベット仏教、マラーティー語、サンスクリット語カンナダ語)でも、「Penis」という意味があると書かれていました。

 でも、サンスクリット語のLinga लिङ्गにはめっちゃ意味があるんだよな。「シンボル」「神の像」「点」「土台」「結論」・・・。先ほどNiruktaの項目で見たような「性行為」という意味ももちろんあるし、「ジェンダー」あるいは「セックス」という意味も持っている。

 共通して言えるのは、とにかく「大事な部分」というニュアンスを持っていることでしょうか。

 

・「ボボンガ」について調べてみる

 前項で「リンガ」についてはなんとなくわかってけど、ボボンガって結局何!?

でも日本語でボボンガって調べてもあんまり出てこなかったし・・・・

 こういう時は、適当にスペルを考えてデーヴァナーガリーで検索してみましょう。

デーヴァナーガリーに限らずアルファベットや日本語カナ以外の文字で検索したいときはiPhoneで検索するといいよ。

 

 とりあえず素直にbobonga बोबोंगा で検索してみましょう。

 

 ・・・・。

 

 人の名前っぽいのしか出てこない!!!!!!!!!!

 

 じゃあ多分違うね。

 

 次、文法的に考えてみよう。

 私はサンスクリット語の文法分からないので、なんかググったら出てきたこちらの資料を片手に考えてみよう。

 (これ普通にめっちゃ助かるんだけどなんでpdf公開されてるんだ…?ありがたすぎるだろ)

  

 文法概略を見る前に見当を付けよう。

「ボボンガリンガ」の「ボボン」「リン」の部分に着目すると、おそらく「リンガ」に「ボボンガ」が性・数一致しているんだろうなということがわかる。

 つまり、「ボボンガ」の分詞の可能性として、

  1. 形容詞(としての働きをする名詞)
  2. 分詞

にだいたい絞れる。

 

 では実際に文法概略にあたる。

 まず名詞変化のあたりを読む。

 

 (少女熟読中...)

 

 うん。

 Liṅgaという形はおそらく語幹なので、Liṅgaは男性名詞かな、多分。

 

 次、分詞の所を見る。

 分詞には、

  1. 現在
  2. 未来
  3. 完了
  4. 過去

 の分詞があって、それぞれ能動と中動に分かれる。(つまり計8種類)

(※中動態というよりも反射態と呼ぶのが一般的みたい。中動態はギリシア語でやったことあるな。)

 

 全部見てるとキリないのでまた見当をつけましょう。

 まず、「ボボンガリンガ」が「勃起した男根」と推測されることから、中動態ではないと思われる。

 じゃあ4つの時制の項目を読みましょう。

 

 (少女熟読中...)

 

 うん。

 読んだ感じ、これらの準動詞は特有の接尾辞がつくようで、その接尾辞に"a"というものはないっぽい。

 

 このことから、「ボボンガ」は形容詞っぽいな。。。。とわかる。

 

 しかし、「ボボンガ」の綴りがわからない以上、検索できない・・・

 じゃあ、English ⇔ Sanskritの辞書で「勃起」に近いニュアンスの単語を片っ端から当たろう!

 

・「勃起」を調べる

使用するサイトはこちら。

www.learnsanskrit.cc

 

まず、勃起erectionで引いてみる。

・・・。

ボボンガ、ない・・・・

 

じゃあ、動詞にしてerectで引いてみる。

・・・。

ないな。

 

じゃあ、Youtubeのコメントに書いてあった「膨らみ」を使って、swelling、bulgeあたりで引いてみる。

・・・。

ない!

 

ほかにもturgor、dilation、distention、intumescence、expansionとかで引いたけど、ないよ。

 

ないよ!!!!!!

 

これもうわかんねぇな・・・

 

3. まとめ

 というわけで、調べ学習してみましたが、ボボンガについては全くわかりませんでした。でもたぶん名詞(形容詞)っぽいということだけ。

 

 ていうか・・・ 今気づいたけど・・・ 作詞者の月蝕會議先生に問い合わせたら一発やんけ・・・・

 (ヒプマイでお世話になっております。)

 

※このアホブログをお読みになっている方でサンスクリット語が分かる方、誰か助けて~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!

 

 以上、某大文学部2留アホ学生によるボボンガリンガ囚われ体験記でした。